今回紹介する本は、部下育成が必要な立場だけど誰も部下の指導や人材育成のやり方を教えてくれないと悩む症状が出た人に対する処方箋です
タイトル:「フィードバック入門」
著者:中原淳
出版:PHPビジネス新書
おすすめポイント:部下育成が必要な立場の人に現在の職場環境は部下育成が困難な状況であることを認識させたうえで「ティーチング」「コーチング」以外のフィードバック技術を提唱しています
対象者
マネージャーや管理職に昇進したけど誰も部下の指導や人材育成のやり方を教えてくれないケースに当てはまる人、人材育成能力の評価システムが明確ではない組織にいる人が対象です
症状
日本の管理職は「プレーイングマネージャー」が圧倒的多数で、通常業務を行いながら人材育成を行うことが求められています
しかも現実的にはマネジメントが主の「プレーイングマネージャー」ではなく、プレーヤーが主の「マネージングプレーヤー」が圧倒的です
このような構造から日常業務に時間を取られて人材育成まで手が回らない、部下の指導や人材育成のやり方を教えてもらえず経験を積む期間もなかったという悩みが出ます
今後は人材の多様化が進み、これらの悩みは深刻化するのは明らかです
引いては人材育成が上手くいかないと部下の退職やマネージャーへの昇進を拒否する人が出てきて組織としての成長を脅かすことになります
効能
「フィードバック」の概念は、
①耳の痛いことでも部下のパフォーマンスをきちんと通知する「情報通知」
②部下が自らの業務や行動を振り返り、今後の行動計画を立てることを支援する「立て直し」
であり、「情報通知」がティーチング的、「立て直し」がコーチング的なものでフィードバックはこの2つを含んだ包括的手法と言えます
フィードバックは部下との1on1で行われるため、事前に1on1の場を予約し、それに向けた準備をすることが必要です
実はこの点が最も効果的な部分であり、後回しになる人材育成から脱却する方法だと思います
部下にフィードバックするのは、何も悪いことばかりではありません
組織にとって善い行いをしているならそれを伝え、今後も続けるよう促すことが重要です
逆に悪い行いならストレートに伝え、改善する支援を申し出ることになります
最初は準備に時間が掛かるでしょうが、お互いに習慣化すれば十分な時間を確保したうえで短縮できるでしょう
副作用
この本はフィードバック入門と言いながら、かなり厳しい実際の事例が書かれています
正直良くここまで言うなと感じる部分もあるのですが、プラスに働いたら部下の成長に大きく貢献することは間違いないと思います
また事例の中では、フィードバックが効かなかった人が何人かいたことがきちんと紹介されています
大きな組織だったらそういう人は配置転換されることになりますが中小企業ではそうもいかないので、もしそうなったら「そういうものだ」と割り切ることが必要です
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